謎の未承認国家ナゴルノ=カラバフの首都ステパナケルトから紛争の激戦地で今でもその爪痕残るシューシという町に行ってきました。
深い霧が立ち込める中で廃墟を探索してきました。
まるで霧深いテレビゲームの世界に放り込まれたかのようで、ときおり言いようのない恐怖感を覚えました。
シューシへの行き方
シューシはステパナケルトからバスで一時間足らずの場所にありますが、誰でも訪問できるというわけでもありません。
当地の外務省でビザを取得する際に訪問する都市を記入しなければならず、その時に申請していなければ無許可訪問というになります。
実際にシューシでは警察官からビザのチェックがありましたので注意してください。
また ナゴルノ=カラバフの現状はアルメニア人の支配下にありますが、アゼルバイジャンは領土奪還を悲願としており、近年のアゼルバイジャンとアルメニアの経済状況の格差から、またいつ紛争状態になっておかしくない状況とも考えられます。
アゼルバイジャン滞在時はテレビ放送で繰り返し、ナゴルノ=カラバフ奪還を主張しており、事実軍備は拡張されているのです。
今でもアゼルバイジャン側の境界近くでは散発的な争いを起こっており、訪問する場所も外務省職員のアドヴァイスに従って決めるといいでしょう。
霧に包まれた廃墟を歩く
シューシの見どころは紛争時に受けた被害が廃墟となって残っている点にあります。
ナゴルノ=カラバフ政府も廃墟をそのまま残すことでアルメニア側の正当性を訴える戦略をとっており、シューシ市内には見学することができる廃墟がいくつかあります。
大規模な廃墟としてはかつてアゼルバイジャン領であったことを伝えるモスク跡や、アゼルバイジャン軍の空爆で破壊された学校の跡があります。
特に廃墟の学校はその内部まで入ることができて、人気のなさと濃霧が重なってホラー映画の舞台のようでした。
また紛争時には大量の難民がここを去ったせいて、誰も住んでいないと思われる空き家が多数あり、この街の雰囲気をさらに陰鬱にしています。
市内自体は3時間もあれば見て回れる広さですが、印象として女性の一人歩きはオススメしません。
視界がほとんどない霧の中からヒョードルみたいなおっさんが出てきたときは僕も驚いたし、ヒョードルさんもいきなり東洋人が現れてびっくりしていましたので注意は必要です。
アゼルバイジャンとアルメニアはお互いを激しく憎み合っていて、周辺地域のパワーバランスの乱れは、ここナゴルノ=カラバフの現状を直撃する恐れもありますが、行ける時に行っておいた方がいい場所とも言えます。
ナゴルノ=カラバフ紛争のきっかけはソ連の誘導によるものという説もあり、両国が和解の道を選ぶことを心より願います。