エチオピアの祭典「マスカル祭」はボーボー燃えで凄かった!

東アフリカのエチオピアは何かと問題が多い。

安宿には南京虫が巣喰い、街を歩けば詐欺師まがいの連中がすり寄ってきて、人混みではポケットに自分じゃない手が突っ込まれる。太陽がさんさんと降り注ぐアフリカのイメージとは違って雨が多く肌寒いし、バスでの国内移動はもはや苦行の類に入る。

しかしそれでもエチオピアにはたくさんの旅行者が集まってくる。

何かと壮大な自然に目が行きがちなアフリカ諸国にあって、エチオピアは文化的魅力もたんまりあって、特に早くから浸透していたキリスト教関連の遺跡はヨーロッパのものとは一線を画すのだ。

そして毎年9月の後半にエチオピア全土に開催されるマスカル祭もまた、ユネスコの無形文化遺産に登録されている。

今回、たまたまエチオピア滞在と重なっていたため、首都アジスアベバで参加してきたのだが、これがなかなか凄かったのでレポートします。

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マスカル祭とは?

エチオピアのマスカル祭とは、エチオピア暦の17日(エチオピアはカレンダーも時間も独自のものを併用していて旅行者は混乱させている)、僕らが慣れ親しんだグレゴリウス暦では9月27日に開催されるキリスト教に関連する祭典である。

「マスカル」とはエチオピアの言葉で「十字架」を意味する。

この十字架とはもちろんキリストが磔になった真実のクロスに他なりません。

キリストを縛った十字架は、彼の死とともにゴルゴダの丘に埋められたとされているのだが、その所在は他の聖遺物同様に確かではないものの、4世紀、ローマ帝国コンスタンティヌス1世の母、聖エレナが夢枕で聞いた「煙の漂う方に十字架が埋まっている」というお告げをもとにして「発見」されたという言い伝えがあり、それにちなんだのがマスカル祭です。

そのためマスカル祭の前日にはエチオピア中に「デメラ」と呼ばれる木の束が積み上げられ、時が来ればそこに火を放ち煙をモクモクとさせるのです。

特に首都アジスアベバのマスカル広場ではその名の通り盛大にマスカル祭が執り行われます。

マスカル広場のマスカル祭に行ってきた

マスカル祭が最高潮に達するのは煙が目視しやすい夜ということだったが、広場には昼過ぎから徐々に人が集まってくる。

エチオピア正教の正装に身を包んだ聖職者や信徒が各地から集まり、広場に続々と集合していく。

観客席は午後3時の段階で、かなり埋まっていた。聞くところでは10万人集まるというのだが、そこまでは全然達してない。

広場の真ん中には4階建ビルくらいの高さのデメラが待ち受けている。

各地から来た信者の行進や、エチオピア正教にちなんだものが続々と入場してくる。

この頃には、気がつくと足の踏み場もないほどに人があふれていた。

円形の観客席はデメラに近い場所から埋まっていき、少しでも隙間があろうものならどんどんと人が割って入ってくる。

そして観客には無償で火をつけるための藁のようなものが配られる。

日が傾くに従ってボルテージも上がっていく。

観客ではお祭り好きのウェイ系おじさんが音頭をとって、コールアンドレスポンスまではじまる。

雰囲気はとても良いのだが、写真を撮っていると後ろのおっさんが僕のポケットに手を突っ込んできた。ポケットの膨らみはトイレットペーパーだったので被害はなかったけど、気をつけましょう。

そして広場でのセレモニーが終わって日が暮れると、そろそろその時がやってくる。

まず全員に配られた捩り棒に火がつけられる。

これはなかなか壮観だった。

ぎゅうぎゅうに詰め込まれた数万人が火を片手に一斉に歌いだすのだ。

前後左右の隙間がほとんどない中で火がつけられるので、気をつけないと服が燃えることになるし、実際にカバンやら服の裾を燃やしている人がいた。

聞くと時々、焼死者も出るのだという。

でもみんな賛美歌を歌いながら幸せそう。

そして夜の7時ごろ、広場のデメラに日がつけられる。

でかいだけあってなかなか火の手は回らないが、それでも煙の量はハンパない。

やがて全体が燃えだすと、数十メートル離れた場所まで火の粉が舞い落ちてくる。

この頃になると帰路のことが心配になりだしてきた。

ホテルのスタッフからはデメラが燃えたら広場から早く離れたほうがいいとアドヴァイスされていた。

人混みで出口が塞がり、混乱するのだという。

この人混みを見ていると想像以上にヤバそうだったので、そそくさと出口に向けて歩きだすも、すでに同じ考えの参加者で溢れていた。暗闇で足元が見えないせいで、将棋倒しが起きてもおかしくない状況だったが、エチオピア人たちは呑気に歌を歌っている。

そんなこんなでマスカル広場を脱出するのに1時間近くかかってしまった。

ちなみにマスカル祭当日は付近は厳重な警備のもと車両に出入りが禁止されるので、ホテルまで歩いて帰らなければならない。

正直、クタクタだった。

でもこれほどの人の多さと迫力を、首都のど真ん中で体感できる機会はそうそうない。

マスカル祭、ぜひ体験してみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=7G_Kf0hsh5Y


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【運営者プロフィール/Profile】

ロケーション・マネージメント、(主に海外の事情や旅行関係の)執筆から撮影、フォトグラフィックデザインを生業とするフリーランス。訪れた国の数は約80、仕事で長期滞在した国はマレーシア、インド、アルジェリア、ベナン、ベルギー、フランス。コロナの影響で久しぶりに日本に帰ってきました。ご入用の場合は問い合わせページより連絡ください。




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