大マダガスカル紀行 第八話
「マナカラはいい街、一度はおいで」

ラノマファナは小さな村でここから出発するタクシーブルースはない。

村の街道を通るタクシーブルースの席に空きがあったら乗せてもらう方式なのだが、朝の8時ごろに街道に立つとほとんど待つことなく次の目的地マナカラ行きに乗ることができた。

しかしラノマファナからマナカラまでの約5時間ほどの道のりはかなり辛い。

道は舗装されているのに、蛇のような山道が続くのだ。

そのためスピード狂のタクシーブルースは車体を右へ左へと揺らしながら突っ走っていく。すると、ほどなく車内からツーンとした匂いが。

お子さんたちがゲロりだす。

これはアフリカあるあるなのだが、実は彼ら乗り物酔いには強くない。西アフリカでもそうだったが、車内で結構ゲロる。しかもゲロるとわかっていながら、休憩中には腹一杯ご飯を食べる。そしてまたゲロる。

三半規管と臭覚がズタズタになりながらも、昼過ぎにマナカラに到着した。

ここはマダガスカルの東側、つまりインド洋に面した湾岸都市。

町の雰囲気は一変する。

道幅は広く、車やバイクは少なく、歩行者よりもプスプスと呼ばれる人力車が多く走っている。

そして町に目立った高い建物がないこともあって、とにかく空が広く、青い。

街中に宿を取ると、明後日にここを出発する列車の席を予約するために、その足で鉄道駅まで向かう。

FCE鉄道は単線で週二回フィアナランツォアとマナカラを往復している。そのため発着がない日は、鉄道駅は閑散としていて、駅構内を覗いても職員らしき人が見当たらない。

FCE鉄道に関してはネット上の情報も少なく、事前に予約しておかないと心配で仕方ないので、誰かいないかとうろちょろしていると、線路脇で新聞を読んでいるおじさんがいた。

どうやら鉄道職員のようだ。

「FCE鉄道のチケットを予約したいんですけど」

「君、中国人?」

「いや、日本人です」

「そう、なら予約なんていらないよ」

「え、どうして?」

「外国人には一等席しか販売していないだけど、こっちの客は二等席にしか乗らないから、出発直前でも人いないよ」

うーん、なんか心配だ。

駅構内で見た値段表では、外国人には特別料金がかかっていて、その中には予約料も含まれているという記述があった。

朝7時発だし、出発前にドタバタしたくないから予約したいんだけど、おじさんはニコニコと全く関係ない話題を振ってくる。

しかし鉄道職員がそういうんだから、間違いないのだろう。

出発の日時と時間を確認して、お礼を言って駅を出た。

すると途端にやることがなくなってしまう。マナカラには見所らしいものはなく、この街を訪れるのはフィアナランツォアからFCE鉄道に乗ってきた旅行者くらいなもので、日本人にはかなりマイナーな場所。

それでも町の雰囲気は開放的で穏やかで、とても心地よい。

町の中心から歩いて30分ほどの場所にビーチがあるというので行ってみた。のどかな田園風景を眺めらながらテクテク歩いていると、日本からずいぶんと遠くに来たなあ、と実感する。

日本は夏でもマダガスカルは冬ということでビーチは閑散としていた。

風も強く波は高く、海水浴には全然向いていない。ビーチには客よりもココナッツ売りの方が多いくらいだ。

そしてこのビーチはマダガスカルの東海岸からインド洋を眺めるように広がっているため、朝日は上っても、夕陽は落ちない。

それはそれで趣があっていい。この街を出発するのは明後日と決まっているが、それがなければのんびりと過ごしてみたい町だった。

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マナカラの宿

HOTEL de Manakara

シングル一泊 35,000アリアリ(トイレ、シャワー付き)

wifiあり(そこそこ早い)

市場の近くにあり、スタッフも親切だった。

ラノマファナからマナカラまでのタクシーブルース

ラノマファナにはタクシーブルースのターミナルはなく、この村を通るタクシーブルースの席に空きがあれば乗せてもらうことができる。

お値段は10,000アリアリ。


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