大阪府吹田市の万博記念公園内にある国立民族学博物館(みんぱく)の開館40周年記念展「太陽の塔からみんぱく 70年万博収集資料」展に行ってきました。
「みんぱく」は大阪万博後の会場跡地を利用して1977年11月に開館。そして開館40周年の今年は、長く原則非公開が続いていた70年万博の象徴でもある太陽の塔の内部が事前予約者を対象に一般公開され、話題を呼んでいます。その太陽の塔の内部には岡本太郎制作の「生命の樹」と呼ばれる巨大なモニュメントが収められており、地下には人類の原点を示すというねらいから世界各地の民俗資料が展示されていました。
その資料はどのようなもので、そしてどのようにして世界中から集められたのか?
「太陽の塔からみんぱく 70年万博収集資料」展はそんな疑問に答える特別展です。
みんぱく初代館長にして、日本における文化人類学のパイオニアでもある梅棹忠夫らが中心となり、結成された日本万国博覧会世界民族資料調査収集団(Expo’70 Ethnological Mission:通称EEM)が1968年から1969年にかけて世界各地に散らばり仮面や生活用品など約2,500点を収集。
今回の特別展は、テーマ館のチーフ・プロデューサーを務めた岡本太郎が選んだ展示資料を、現在の「みんぱく」に在籍する研究者たちが当時の状況も踏まえて再構成して展示しているため、平面的な世界の広がりの他に、70年当時と今の時代的比較にもなっていました。
「太平洋ではむかしから岡本太郎のマネをしていたんだな」
まず入り口を入ると70年万博前夜の日本及び世界の状況が説明されます。民俗学的見地から万博に反対する熱い手紙も紹介される中、日本の民具にはじまって、韓国・台湾、そして東南アジア、インドとアジア圏の品々が紹介されます。
そしてアフリカからヨーロッパへと北上し、中南米、北米、オセアニアと世界を一周します。
特に興味深かったのが、現在のバヌアツ共和国、ニューヘブリデス諸島の一つマレクラ島で収集され、岡本太郎が「太平洋ではむかしから岡本太郎のマネをしていたんだな」と語ったという一体に人形像(写真下)。
その言葉通り、太陽の塔と似た形状をしています。岡本太郎はその近似性から縄文美術の発見者とも言われますが、太平洋の土着美術とも意識下で深く関わっていたことがわかります。これは見逃せない一品でした。
そして二階に上がると、どかーんと現れるのが仮面の群。もしくは仮面のつるべ落とし。約200点の仮面が一堂に会しています。「みんぱく」本館にも負けないほどの個性豊かな仮面たち。仮面好きはこの一室をウロウロするだけでも幸せになれます。
仮面コーナーの後は約120点の彫像たちがお出迎え。フィギュアですね。ここでは「サウスパーク」調からインドの神々まで、アジア、アフリカ、ヨーロッパと世界中に分布するフィギュア文化が俯瞰できます。
特別展はここで終わりですが、本館にも40点の70年万博関連資料が展示されているのでお忘れなく。
旅好きや、世界のヘンテコ品が好きな人にはたまらない特別展でした。僕も海外に行くたびに民芸品を買い込むことがやめられず、最近ではその置き場所に困っているのですが、やはり国家プロジェクトだけあってそのスケールの大きさには圧倒されます。しかし60年代後半にはすでに、今とさほど変わらないツーリズムの弊害が発生していたようですね。
ということで「太陽の塔からみんぱくへ― 70年万博収集資料」展は2018年3月8日から5月29日までとなっていますので、是非とも足を運んでください。エクスポシティもいいですがみんぱくです。本館観覧料(大人一般420円)で今回の「太陽の塔からみんぱくへ― 70年万博収集資料」展も見学できますのでお得です。
参照:国立民族学博物館